2007/7/26 16:13




ツール・ド・フランス2007現地レポート by綾野 真
再びツールを直撃するドーピングと疑惑の嵐
また今年も衝撃がツールを襲う。今年のヒーロー、ヴィノクロフ陽性のニュースは休息日の選手、ジャーナリスト、関係者を震撼させた。続いてモレーニの陽性、そしてラスムッセンまでもが除外。混乱のツールの2日間を、時系列に報告する。
ポーでの休息日の第1プログラムはプレスセンターでのラスムッセンとラボバンクのマネージャー、テオ・デローイ氏の記者会見。ラスムッセンはその冒頭に用意したコメントを発表。内容は、問題とされているレース外ドーピング検査のおり所在が分からなかったことへの疑惑に対し、誤解を招いてしまったことへの謝罪だった。選手はいかなる場合も(検査を受けられるように)居場所を明らかにしなければならないが、その報告義務を怠り、「問題とされる日にはメキシコに行っていた」などと釈明した。
会見にはドクターも同席。UCIとのやりとりのなかで行き違いがあったこと、その結果「ラスムッセンのツール出走を認めない理由はない」とする結論に達した経緯などを説明した。
しかし集まったプレスからは「あなたのような常に検査対象となるトップレベルの選手がそういううかつなことをするのは納得できない。ここにいるすべての人が今あなたを疑っている」などと厳しい意見が上がった。マイヨジョーヌの選手の記者会見でありながら、ほとんどすべての質疑応答が疑惑に対するやりとりとなった。
続いて15時すぎから開かれたディスカバリーチャンネルの記者会見の途中、ブリュイネール監督の携帯電話にメールが着信。コンタドールとライプハイマーの会見中だったブリュイネールは話を中断して嬉しそうに集まったプレスに伝えた。「このニュースは皆が興味あるでしょう? ペタッキがイタリア競技連盟によって潔白が認められたよ!今からでも彼をツールに出すべきだ」。
CONI(イタリアオリンピック委員会)によって1年間の出場停止処分を告げられていたが、その必要はなくなり、即刻レース出場可能となったペタッキ。
チームミルラムはプレスリリースを出し、ペタッキのコメントを伝えた。「これは僕の人生の中でもっとも美しい勝利のひとつ。もう誰も僕のように苦しむことを望まない。人生の中でもっとも辛い体験だった」。チームはこれによってペタッキがイメージダウンを受けてしまったこと、ツールで勝利できた可能性を失ってしまったことなどを伝えた。
それから約1時間。サウニエルドゥバル・プロディールに記者会見がポーのプレスセンターで開かれているときに180度逆の悪夢のようなニュースが直撃した。ちょうどサウニエルドゥバルがマリに植樹をするキャンペーンの説明をしているときだった。
「ヴィノクロフ陽性」。そのニュースの第一報はレキップのウェブサイトが伝えた。休息日の記者会見がチームの泊まるホテル、プレスセンターなどで開かれている折だった。ニュースは電気ショックのごとく瞬く間に広がった。血液中に他人の赤血球が混在しているという、いわゆる血液ドーピングの疑いだ。
もちろん結果の確定はB検体の検査結果を待たねばならないが、アスタナはチームごとツールを去ることに。
この日ヴィノクロフは夕方前にはホテルを出て帰路に着いたという。ホテルに詰め掛けた大勢のプレスを前に、チームマネージャーのマーク・ビヴェール氏が状況を説明する会見を行った。
ヴィノクロフ本人はドーピングを完全否定。「検査の間違いだ。出血を伴った怪我のせいではないか」とコメントしている。「父親の血を輸血したなどと言われる。ウォッカでも陽性になるんじゃないのか?」とも。
第16ステージのアスタナの選手のリザルト上の扱いは「Non Part.」(=未出走)だ。
開けて翌日、"ヴィノ爆弾"のショック冷めやらぬ第16ステージのスタートでは一部の選手が出走するのを渋り、あわや出走ボイコットという事態に近づいた。結局は出発時間に10分ほど遅れで全選手が走り出したが。
オービスク峠でのラスムッセンの勝利でマイヨジョーヌがほぼ確定したこの日、前日から予告されていた発表がゴールのプレスセンターで行われた。クリスチャン・モレーニ(イタリア、コフィディス)の第16ステージ後の検査でのテストステロン陽性反応だ。モレーニは薬物摂取を自白。コフィディスはチームごと去ることとなった。
問題とされるツール前の検査時に所在が分からなかったその日、ラスムッセンはメキシコにいると言っていたが、実際はイタリアにいたことが判明した。元選手で現在イタリアの国営テレビ局RAIのコメンテーターをつとめるダヴィデ・カッサーニが北イタリアのドロミテ山中で練習するラスムッセンの姿を目撃したとデンマークのTVに話したのだ。
虚偽報告はUCI(国際自転車競技連盟)の規定に反する。そのためテオ・デローイ氏はこの事実を深刻に受け止め、嘘をついたこと、疑惑を招いていることを重く見てラスムッセンをツールから除外し、解雇した。
また今後ラボバンクの他の選手たちがレースを継続するかどうかの判断は、話し合いの結果に任せるという。
広報担当のヤコブ・ベルグスマ氏は、深夜1時を回ってもホテルに殺到して帰ろうとしないプレスを前に次のように説明した。「残された選手たちが走るかどうかの判断は26日の朝の話し合いの結果によるだろう。時間などは一切未定だ」。
マイヨジョーヌの選手が除外となったチームがツールを続行するかどうかは疑わしい。総合成績は繰り上がるが、おそらくアルベルト・コンタドール(ディスカバリーチャンネル)は17ステージではマイヨジョーヌを着ることはないだろう。

ツール・ド・フランス2007 現地レポート グラフィックス
photo&text:Makoto.AYANO
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| 『アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)のドーピング陽性を大々的に取り上げたこの日のレキップ紙』 |
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| 『ラスムッセンのレース撤退が決まったラボバンクの広報担当ヤコブ・ベルグスマ氏に質問が集中』 |
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| 『ドーピング撲滅を訴えるおばあちゃん』 |
・ラスムッセンの謝罪会見
ポーでの休息日の第1プログラムはプレスセンターでのラスムッセンとラボバンクのマネージャー、テオ・デローイ氏の記者会見。ラスムッセンはその冒頭に用意したコメントを発表。内容は、問題とされているレース外ドーピング検査のおり所在が分からなかったことへの疑惑に対し、誤解を招いてしまったことへの謝罪だった。選手はいかなる場合も(検査を受けられるように)居場所を明らかにしなければならないが、その報告義務を怠り、「問題とされる日にはメキシコに行っていた」などと釈明した。
会見にはドクターも同席。UCIとのやりとりのなかで行き違いがあったこと、その結果「ラスムッセンのツール出走を認めない理由はない」とする結論に達した経緯などを説明した。
しかし集まったプレスからは「あなたのような常に検査対象となるトップレベルの選手がそういううかつなことをするのは納得できない。ここにいるすべての人が今あなたを疑っている」などと厳しい意見が上がった。マイヨジョーヌの選手の記者会見でありながら、ほとんどすべての質疑応答が疑惑に対するやりとりとなった。
・始まりはペタッキの吉報から
続いて15時すぎから開かれたディスカバリーチャンネルの記者会見の途中、ブリュイネール監督の携帯電話にメールが着信。コンタドールとライプハイマーの会見中だったブリュイネールは話を中断して嬉しそうに集まったプレスに伝えた。「このニュースは皆が興味あるでしょう? ペタッキがイタリア競技連盟によって潔白が認められたよ!今からでも彼をツールに出すべきだ」。
CONI(イタリアオリンピック委員会)によって1年間の出場停止処分を告げられていたが、その必要はなくなり、即刻レース出場可能となったペタッキ。
チームミルラムはプレスリリースを出し、ペタッキのコメントを伝えた。「これは僕の人生の中でもっとも美しい勝利のひとつ。もう誰も僕のように苦しむことを望まない。人生の中でもっとも辛い体験だった」。チームはこれによってペタッキがイメージダウンを受けてしまったこと、ツールで勝利できた可能性を失ってしまったことなどを伝えた。
・ヴィノクロフ陽性 ツールを去ったアスタナ
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| 『休息日、アスタナのチームマネージャーを務めるマルク・ビヴェール氏質問が集中』 |
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| 『アスタナが宿泊するホテルには警察官が張り付く』 |
「ヴィノクロフ陽性」。そのニュースの第一報はレキップのウェブサイトが伝えた。休息日の記者会見がチームの泊まるホテル、プレスセンターなどで開かれている折だった。ニュースは電気ショックのごとく瞬く間に広がった。血液中に他人の赤血球が混在しているという、いわゆる血液ドーピングの疑いだ。
もちろん結果の確定はB検体の検査結果を待たねばならないが、アスタナはチームごとツールを去ることに。
この日ヴィノクロフは夕方前にはホテルを出て帰路に着いたという。ホテルに詰め掛けた大勢のプレスを前に、チームマネージャーのマーク・ビヴェール氏が状況を説明する会見を行った。
ヴィノクロフ本人はドーピングを完全否定。「検査の間違いだ。出血を伴った怪我のせいではないか」とコメントしている。「父親の血を輸血したなどと言われる。ウォッカでも陽性になるんじゃないのか?」とも。
第16ステージのアスタナの選手のリザルト上の扱いは「Non Part.」(=未出走)だ。
・モレーニ陽性 コフィディスが続いてツールを去る
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| 『クリスティアン・モレーニ(イタリア、コフィディス)のドーピング陽性について説明するUCIのスタッフ 』 |
オービスク峠でのラスムッセンの勝利でマイヨジョーヌがほぼ確定したこの日、前日から予告されていた発表がゴールのプレスセンターで行われた。クリスチャン・モレーニ(イタリア、コフィディス)の第16ステージ後の検査でのテストステロン陽性反応だ。モレーニは薬物摂取を自白。コフィディスはチームごと去ることとなった。
・ラスムッセンは嘘をついていた。
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| 『夜遅くまでラボバンクチームの周りにはメディアが集まった 』 |
虚偽報告はUCI(国際自転車競技連盟)の規定に反する。そのためテオ・デローイ氏はこの事実を深刻に受け止め、嘘をついたこと、疑惑を招いていることを重く見てラスムッセンをツールから除外し、解雇した。
また今後ラボバンクの他の選手たちがレースを継続するかどうかの判断は、話し合いの結果に任せるという。
広報担当のヤコブ・ベルグスマ氏は、深夜1時を回ってもホテルに殺到して帰ろうとしないプレスを前に次のように説明した。「残された選手たちが走るかどうかの判断は26日の朝の話し合いの結果によるだろう。時間などは一切未定だ」。
マイヨジョーヌの選手が除外となったチームがツールを続行するかどうかは疑わしい。総合成績は繰り上がるが、おそらくアルベルト・コンタドール(ディスカバリーチャンネル)は17ステージではマイヨジョーヌを着ることはないだろう。
ツール・ド・フランス2007 現地レポート グラフィックス
photo&text:Makoto.AYANO
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